五月六日


   手紙には狸臺には鯉をのぜ

            (柳多留 五)




 佐久地方の佐久鯉は信州の特産として全国に知られているが、佐久市では、佐久鯉をもつと広く紹介しようと、PRと観光を兼ねた「コイまつり」を考えた。時期は鯉幟りのおよぐ五月五日前後とし、コイの供養、コイ釣り、船上のコイ料理、撮影会、コイのつかみどり、恋になぞらえてアベツクの参加出来るような催しなど、もつぱら年中行事にしたい意気込みだ。
 佐久鯉の歴史は古い。今から百三十年以上前の文政年間に野沢の豪農並木七左衛門が岩田村藩主内藤豊後守から領内の財政再建をまかされ見事にやり遂げ、礼として大阪淀川産の鯉を贈られ、自宅の池で飼つていたのが水田に逃げて育つたとの言い伝えがある。
 一説には同じ頃、野沢の臼田円右衛門という人が京大阪からの商用でその帰りに持つて来たともいわれる。