五月四日


   小笠原庭へ仕付けた御辞宜草

              (しげり柳)




 小笠原家は代々礼法の本家として知られているので恐らく庭にも、おじぎ草あたりが植えられているのではないかという想像句である。おじぎ草は一名ねむりぐさともいい、含羞草とも書く。
 「三儀一統」という礼法書がある。弓術、礼法の奥義を盛つたもので、小笠原貞宗の選述といわれる。
 小笠原氏は建武以来、信濃国守護職として伊那の松尾城にいたが、その勢力が信州全般に及び松本に映つた。