四月二十四日


   づくなしの世とはなりけり山ざくら


              (田舎樽)




 「づくなし」は信州方言だが、必ずしも信州だけではなく、所によつていろいろな意味で使われている。
 しかし意味はほぼ、だらしない者・いくじなし・臆病者・不器用・怠け者などを指すようである。
 同系語に「じくなし」がある。東北・関東ではいくじなし、九州でだらしない者、お隣りの山梨で怠け者の意味で使われる。「じく」は東北地方北部で「きもつたま」を指す。そこに何か関連性があるようである。
 方言は人々の言葉に対して持つている感情価値観によつて決定され存在もし、また消滅してゆく運命をになう。