二月二十六日


   留守の戸へ子どもが来てはばらざくれ

                (田舎樽)





 出典「田舎樽」の序文は、江戸時代のユーモア作家十返舎一九が書いている。文化二年(一八〇五)に編集されたと推定される松本の川柳作家の作品集である。半紙判二つ切り二つ折で、土器色の表紙、序文が一枚、本文が二十九枚。
 「ばらざくれ」は、ばらで引つかいた傷のこと。留守の戸へ子供がいたずらをしに来るたびに傷をするの意。
 明治卅一年刊「東筑摩郡方言集」には「皮膚の打たれて少しづつ裂けて破れたる傷」とある。