一月三十日

   鳥の骨しなのに聞けば捨てました

             (柳多留 七)




 若気の至りで、自分の故郷がやたら無性にきらいになつて、ぽいつとよその土地に移り住んで数十年、やつと分別盛りになると、澄んだ大気、高い山、青い空の故郷をなつかしがる。信州人のそんな経験をよく聞かされる。
 さて振り返つてこんなことをいう。率直でないということ、無表情で笑いが少ない。異常な意志の強さを持つが、一面頑固。そしてこの句のように融通がまことにきかないということだ。