九・十月

老い支度なかに昔を置いてある

自分より若い年寄り何度もし

置手紙狭い世間を広くする

ひと通り風が止んだと鴉バッサー

老い坂に並んで待つか真っ赤なれ

重からぬ身の一生を近付かせ

冷えて来て来た小さな微笑みや

老人の夢はさもしくあちら向く

冷えて来た小さな微笑やや転げ

笑い上手聞きもらさずに老い老儀