十二月

   妻と灸熱さ辛さを争わず


   飼い犬はいないよその声手厚くて


   陽は真冬あらたまる齢黄色っぽく


   似顔絵で先をこなされ負けず嫌い


   老醜の温い大穴欲しいばかり


   こんがりと焦げた餅たち行儀よく


   ぼんやりとこの年の瀬やわが齢と


    衰えの向こうでしっかりした声が


   仕来りを舞う人間のいじらしさ


   長寿県われを惜しんでまのあたり