十一月

   軽薄な裏へ誌すか今日の咎


   見届けしおのが潮時克たんとし


   おごそかに首尾をたくわえ露払い


   どんな顔して疎い世に生まれ合い


   鷹揚に世過ぎのまことなら拾う


   老来の夢は惜しみをして戻る


   黒豆の神秘とにかく点灯す


   かくんと悲しみを添えるいのちきらり


   過去が痛がる道草のひとつふたつ


   掬すべき泉の独り言を聴く