八月

   八十八互いながらの友の身は


   傷ついた者が手を挙げるそれも世の中


   つれない話を寝床で泣いたそれも歴史


   そこまで生かしむる刹那の雄叫び


   妻も八十四漕ぎ出す山と海と


   百メートルを殿で走つた思い出


   運動会をよそに手ベースの輩はしやぐ


   神前のうやうやしき米寿たずさえ


   いかめしく死に損ないの帰り径


   歳の女神ありとせばわれは謹厳