七月

   熟成のかばかり夢のその中に


   逞しく影ゆらせつつ不毛


   曲筆の揮うあまりにも平和


   飛んでゆく風がわらべ唄にこだわり


   歯型さて悲話を除こうとはしない


   くずし文字いつか別れの歌覚え


   齢の数次貯まるばかりで嬉しかろ


   老いぼけの蛇足ゆるやか小世界


   そこだけの狭い道すらむしかえし


   青二才とびたつ順を狂わせず