六月

   甘栗よ祭囃子を低くする


   叱つてる帽子別れが惜しいのだ


   男の夢が近くなるほど老いゆくに


   口紅の若い咎老いの悔い少し


   了見をやさしくさせて雨本降り


   遠くに流れる雲があり捨て台詞


   言葉らしい白を切る遠く過去


   幻の気付かぬ方へ避けた川


   父在り母在りその頃の星の精


   玩具がしきりに口数をふやし