四月

   償いのいくつ数えてただに寝る


   着る脱ぐの心覚えのひたすらに


   死に遅れさてごもつとも無精髭


   共有の愛の庁つぽたかが知れ


   ふるさとをめぐる愛憎のゆくえ


   愛憎をもたせ故郷への溜め息


   恬としてふるさと遠くうしろ向き


   言葉遣いに一篇の情を尽くし


   木訥に神馬の目の春を拾つた


   太い眉明日をはさんで逃げ口上