十一月

貧しい思惑だってよかろう山が見ている

ぼんぼりの転寝そっと花火に叱られ

ねんごろに声立てて棲む大きいぞ

秘事かくし合い鷹揚の足掬い

気の強い街で夢の譜が逃げた

濡れ鴉干し鳥決め手のかくれんぼ

カップで眠る昵懇のなかにひそめ

果油ちびり夜忘れねぐらこじんまり

過去よそこまでも黙っていたくないか

別の橋が気の毒そうに笑窪する