九月

丸かじり短篇のウィットが上がる

老害のしこりなだめてお静かに

いずれめぐる老いたおやかに独り言

接点でかゆくてならぬ言葉たち

興亡の軌跡黙って呼んでおこう

百歳に遠く草臥れゆく吹き矢

凡人の好さをにじませ水がうまい

耳の上を抱いて鎮まる夜の私話

打ってつけしんがりだからなお冴えて

優劣を伏せると見せて進取の気