八月

こおろぎの身の上ばなしいち早く

夏負けに心安けく齢洗う

老病につなぐゆかりのひとり舞古

患えば老いの口添えからまして

短にして小の兼ね合いまだ生きる

自らを養うほどの力水

あやしげに杖を気品として見るか

ワンテンポ遅れながらも気のおごり

この自分に怖れをなして漕いでゆく

物盗りの乱あさましく開化する