九月

うち紅を刷けば虫たちうなずいて

軸替えて父の遺品にあやかるか

どこで揺れてか一筋の祈りとし

さもあらばあれ一陣の風を布く

かくれんぼ真に迫るは甘い金

箸束に洗うとえにし顔を向く

返すのは諌める言葉とんがって

明日は明日役者揃いの夢紡ぐ

鐘いくつ老いの道草ほどよくて

効くことに離れ薬価の下ごころ