三月

人生の伴侶のやわらかい枕

ひとあやめ人おとしいれ救いどこぞ

隅々にゆきわたりたる慈愛いまも

まやかしのおのれを飾る何を敷く

官僚の壁に届く赤い夕陽か

  姉逝く 二月二十六日
長男に先立たれ耐え日の流れ

実家在る欣びをふとつぶやきし

少女青春の過去のぼる白き思慕

極まりし刹那の刻よわが胸に

永別のかんばせここに世の重さ