三月

氷雪に粋のいざない高鳴るうた

墨痕臨書の静思たりまつりごと

相好を崩すゆとりか羞らいか

いなせの肩へふわり豆しぼり動く画だ

沙汰あってさびしがりやの冬帽子

ここだけの話負い目はまだ軽く

一管の笛究極を告げに佇つ

かく弱きなお強きこの世に見せる

少な目に収まってゆくそのひごろ

芸の秘のいくつ知るべき日を余し