十月

望みあやす何はともあれ日傾き

べからずと変体仮名のしかめ面

身の程のかばかりの花もたれつつ

濡れ行かば心打ちけん土の叫び

若き死の弟覚めしあたらいくとせ

朝露に額ずく墓の声あらば

大新聞ヌードが渇く占有度

  ひとり弔う
友ぞいま偲ぶ別れのあとやさき

  学友出版祝い
傘寿越ゆさても歌集の磨き映え

  信大出講了わる
老骨を撫ぜ深まさる道はたしか