六月

 自分で集めた本とか、先方から送ってくれた本とか、だんだん溜まって来て、部屋中に積み込んだまま、家族の者に厄介ものにされるようになると、誰でも悲鳴を挙げたくなる。
 交換誌で友人に頒けてやったりしても、毎月どしどし増えてくることは間違いない。古本屋に見積って売ればよいのだが、どうもその気になれず、さて廃品として出すには、折角送ってくれたご厚意にそむくことになりそうで、ついつい放置しておいた。
 数年前、道路拡張で改築を余儀なくされ、どこへ持って行こうかと考えた。市立松本図書館あたりがよいが、短歌や俳句なら兎も角、川柳を置いてくれるかと、少し弱気だが躊躇した。だが一応聞いて見て、そこでことわれたらまた考えようと、松本図書館に行って見た。
 喜んでお受けするという吉報だった。段ボールいくつかにまとめて持って行った。足で蹴って動かさねばならないほど重かった。無論、私では取り扱い難く、山好きの始終遊びに来る学生に頼んだ。伜が集めた山岳図書を借りに来たのが縁の若者。
 あなたは貴重な本を寄贈してくれて有り難いというお達しがあって驚いた。新聞にも紹介された。その後、ちょいちょい持って行くことを続けたが、既知の静岡県芝川町の清博美さんが、松本図書館にある全部を、雑誌名、創刊号、目次、筆者等をコンピューターに打ち込むという一大作業が始まったのだ。この方面には暗いのでわからないが、筆者の名前のところを打つと、すぐに書いた表題が出て来るという。その他色々に便利な仕組みだそうだ。
 うちにまだ残っているのを静岡県の自宅に持って行き、またそれを図書館に戻すようなことを繰り返し往復された。
 松本図書館は六月は休館、九月に新館に入るが、そうなれば図書館の方でも整理集成に取り掛かることだろう。
 戴いた川柳の本ばかりでなく、短歌、俳句、詩も同じように編成され、一堂に展示と決まる。
 九月開館ともなれば全容がわかるから資料活用に見てほしい。