四月

もう済んだ話でお辞儀して逃げぬ

聞き捨てのほかなき些事のちくり刺す

善き友を得てしがらみに弾じたく

短気は損気如才なく鐘が鳴り

挽回のてだてあばら骨は見せよう

こなれゆく腹の動きを繰る夜半

結ばれしえにし語りに落ちてゆく

角とれて老いの試練がどっこいしょ

有終の矩りを越えず平らげる

片っぽが残るさだめの私小説