九月

硝煙の一歩手前の胴回り

人質の寸時の喘ぎ思うだに

手不足を嘆じるときの向こうずね

巻き込もうとするひと声のうそ寒さ

鳴く蟲と泣く虫の世に居合わせる

お互いに遅れと気付く道を分け

さよならは生きのたまゆらただ一度

にらみ合い遠き谺のよい向きに

とは知らず役立つ筋は別に映え

満塁に空振りの座は出来過ぎる