三月

元号の伝習を秘め 折りたたむ

括弧ない西暦が嗅ぐ二十一世紀

名乗り出る血縁 国の春を生む

党略を矯めて烽火のあきらかに

もろもろのさだめのほかの たわむれか

なまけものめいて独りの祈りとも

去りがてに頬のほてりの あやにくや

おだやかな噴煙 旅へ逃れ来て

青春の悩み ためらい遅桜

小天地得し沢蟹の濡れ合える