平成元年6月

裏道に擁し大魚をまた遁す

追究の逸れ矢は悔いに雪くべく

大凡の落ち絡まんと雄蕊雌蕊

お粗末に終始ジンクス眠くなる

一本がのたうつどこかの風景で

即妙を生む酒のゆたかさ矩越えず

やさしかり遠出の露の花ながら

生々流転ひたすら思い止まざり

数ならぬ身の程辿る道しるべ

死に瀕し夜明け告げて鐘が問う