十二月

   向こうから呼び水誘うまでもなく


   惜しがられじわじわ齢の熟むかたち


   まなじりに勇を決し正邪を分かつ


   顔色を変えないという羽の傷み


   酬いるに足りぬ今わを鞭打たれ


   願ってもない道のりを覚えとく


   物欲のとりこ素直に風邪を引き


   空とぼけぐっと知名度のしあがる


   伸びをして見せてゆとりの仕業とか


   あわよくば攀じ登りゆく黒き爪