二月

   ぐるり山々四季の歌世過ぎうた


   低き山高き山その処を得


   山連ね馴染み貌なる松本城


   暮れなずむ山の麓の灯はたしか


   山に育ち倦かず栖むべき日の慣い


   友一人ふたり微恙が絡みゆく


   心おきなく湯たんぽで洗う顔


   刃のおもて鱗いちまいへばりつく


   ぬばたまの夜より弾き出す句のしらべ


   増刷の歌集鎧うおんなの血