十二月

   幾条の時雨帳幄に夢興す


   狼煙継ぐ山の屯の息使い


   色好みむんずととらえたる灯り


   なりふりは群を抜くべく鞘払う


   莞爾たり濡れ手拭を現るる


   女武者震い南瓜どっかと座り


   神祇仏事宿らばいつか安まり来


   抜け穴をぬっと雑兵童顔か


   掌握は成らで颯々垣めぐらせ


   もろもろの末路具わる草鞋たち