十月

   とき長けてひと癖ふた癖は消える


   諺のいくつ湧かせて身のこなし


   山秀で小なるわれを相容れる


   高い山低い山かくも劣らず


   名月を拾い得て老いに漬かるや


   散りしきる枯葉まともに生きて来た


   ためらわず秋は濃きものみな本気


   冠雪の山に向くひしと磨くか


   夜の雨の夢ならばこそ弾き語り


   世捨てびとならぬ稼ぎの小さくとも