五月

   ねんごろの言葉が返る痛みとか


   気まぐれの域を出たがる腕まくり


   助かろうとはしないかかる道筋


   そそくさとめしの時間との絡み


   得たる知己この齢にして目覚めゆく


   盗聴のいやしき狎れを厚くする


   死刑囚仆れ未完画は遺すべく


   射つむごさ閉ざされし世の憤り


   こめかみのただならざるを映しとる


   久しからず破れ笠を手に雫する