十一月

   群雄割拠更に熟して明日を漕ぐ


   雄叫びの定かに鎧う音立てて


   ひんやりと寝首に安堵する目覚め


   後れとる一太刀虫を鳴き鎮め


   夜霧這う弱者見据えて滔々と


   耳打ちの策は扇の半開き


   取り乱す悲憤慷慨孤雁立つ


   吟ずれば仮寝の風呂の焚き返し


   人の訃の恩讐越ゆる机に戻り


   諸肌の灸点いくつ傷と和す