九月

   写されし老いのたしかなほとぼりよ


   たはやすき思いに過ぎぬもたいなし


   身の上の挨拶となる殊更に


   浅からぬ世に生き通す身をゆだね


   近き山遠き山みなわがいのち


   故もなく齢の痛みにくるまるか


   祭り笛俗世を洗う耳を洗う


   かかる世にして明るさを気付き合う


   秋の切符浮き雲たちと気があって


   ワイン党イッキイッキの手に乗らず