五月

   やんぬるかな数ならぬ身にとじこもり


   ぎっしりと山の声ある暮らし向き


   稚魚放つ銀鱗の日のいざやいざ


   光る苔旅のおごりが濃くなって


   安らかに貰った蒲団落ちてゆく


   カーネーション二本こころが挿してある


   病む将軍時の隅から顔を出し


   憧れの国に指紋の呻き声


   日本語で野性動物身を立てる


   北の海必死に生きる応えねば