九月

   老いを病む雪崩はひたと待つほどに


   かりそめのさわりは老いのひと峠


   いずれその日あれこそばゆき夢枕


     長野県西部地震

   襲うも瞬時決めつけ無口なり


   爪跡のうえに炊出しひたすらな


   学説が読みとり地震輪廻噴く


   救援の爆音思いやる現地


   人心に触れ学説の地に揺れ


   行方不明ここに住み合える人の祈り


   もうひとつの国防を負う呼び覚まし