八月

   生きたがる凡夫の覚えまた濃くす


   汗すれば凡夫匹夫の滴りよ


   急ぐにあらねど処するにも疎や


   快老に出合いがしらの蝸牛


   山頂のカラフル神秘苦笑う


   孕んでる中流一億の声のうねり


   いくさの熱い記憶から呼び出され


   黙祷の熱砂みるみるいきどおり


   殊更の呻き鞭打ち終戦の日


      わが永劫の出自の日を誌す

   終戦の痛みのあすの誕生日