六月

   マジックのほんとの札の息使い


   探る手の愛にまだある冬景色


   気づまりの仮設のうえにあぐらせよ


   ふがいなく宥す身のほど思い知り


   よんどころなく去る影のまっとうさ


   見せかけの嚢のなかのいがみ合い


   頭でっかちの図式の下の子羊よ


   でかい紙幣の貌で手形調子づく


   政治倫理ひと忘れ始まる芝居


   気の好くままの旅で風に吹かれた笠