五月

   めぐすりの冷たき覚え朝がある


   父祖の地に背かぬとしを相覚え


   健やかに老いのポスターにじり寄る


   年寄りの膝こそばゆき相手欲し


   来生そこそこ消えやすき夢ゆする


   悠久のなかのまたたき火花せよ


   高見山さてもまるごと目を肥やし


   オリンピックさびしがりやの背を見せて


   不参加の友情という海いくつ


   緑ふれあう街に来てまだねだり