三月

   億万の倒産を聞く隔て過ぎ


   倒産の下の生ま身の群がり束


   弱小をあざけるごとく派手な落ち


   飛ぶ鳥をおとせず小さき身の上よ


   見限らずせつなきまでに流れゆく


   おどろおどろこの世を享けて問ううたぞ


   老熟のはやき目覚めの律儀よな


   いつか別れの日は疎み老夫婦


   老いも稼ぎにわたりあい陽の恵み


   馴らされし老いの気負いの糧となる