十月

   一閃にまばたき億の出る手記


   償いのありたき姿描くばかり


   憂鬱を人からもらう日の憎さ


   かまきりをおのれ知るべき青さ濃く


   熱っぽく重くひれ伏し呼び合うか


   沈んでく国まのあたり虚構の図


   捨てる笑いは入歯脱ぎたる夫婦


   しこしこと目覚めの雨にゆだねおく


   こんがり焼けてこの安けさを思え


   ごろりごろり野菜の貰いものに遇う