九月

   父の歳にてくてく歩くいい秋よ


   澄んだ目に逢いたいという友を持つ


   健やかな老いをくるんだ日の【人篇の愉】み


   涙などない別れしてうなずくか


   また元の道に戻ってたかぶらす


   心やる訣別旧き戦火の詩


   朝を得て籠の囀りとも合わし


   ぐるり山々見残しの雲胸に


   なだからに行き着く齢のあるがまま


   温める記憶のいまのつつましや