{山々の顔]四月

統一地方選挙で学友の吉田末男君が松本市から県議の名乗りを挙げ、またしなの川柳社同人三沢惣治さんのご子息光宏君も塩尻市から新人で栄誉を担った。一昨年物故された惣治さんは塩尻の収入役をつとめられ、のち助役になった。
▽収入役といえば吉田君と同じように学友の赤羽誠君が松本市でその席にある。このたびしなの川柳社同人高嶋盛人君は三郷村で収入役に選ばれた。
▽新しい門出に立つもの、若人のみとは限らない。ひとつの区切りを終えて、次のジャンプを試みる人生の道が目の前にある希望に満ち、進取にはやる心を、親しい友として祝ってあげたい。
▽三沢光広県議の母堂は柳号を育野(いくの)といい、句会には常連で先輩に伍して倦まない。当選を知って早速お電話したが、方々からお祝いの言葉があると見え、幾回となく話し中でラチあかず。手紙で丁寧に祝意を表する。早速お返事をいただき恐縮した。
▽同人山岸きよし君はことし二月二十一日に逝くなった。惜しい人を失った悲しみは同人それぞれ思いを同じうする。しめやかに葬儀には妻が列し、私は行かれなかった。私が既にきまった仲人として結納日と重なったからだ。悲喜交々の情とはこのことかと人生の無常を感じながらも、私はつとめて冷静に徹しようとした。
▽きよし君のご子息は竜清君。関西方面で新進作家で鳴り父に継ぐ川柳作家として活躍、それがせめてもの故人のご冥福のしるべだろうか。本誌からはきよしの名は消えたが、竜清の名が強く生まれ出るのだ。
▽同人土田貞夫君のご子息勝義君は信州大学助教授。植物生態学の立場から自然保護運動に取り組み荒廃甚しい北ア、白馬岳の高山植物復元に邁進する有為な青年だ。
▽北ア山麓穂高町には近代彫刻の先駆者と言われる萩原禄山の作品を展示する碌山美術館がある。朝な夕なに鳴り響く尖塔の中の鐘の音のかぐわしさ。その館長所日出男さんは同人所典夫君の兄。ここ穂高はわさびでも有名、わさび園のあちこちに野外彫刻が佇つ。高嶋文彦君作。一陽会員。東京在住。同人盛人君の弟だ。