三月

   山河あり歓びの目に過去を拭く


   たまゆらの朝の寝覚めに置くいのち


   予報当たる雨を聞く耳持ち合わせ


   パロデイに食う道がある世のうめき


   安楽死そこで自分を見つめてか


   しくしくと寿命嘆かず陽の恵み


   ぬすびとの大物だけになお喜劇


   因業の喪の素早さに掌を合わし


   深い目のなかで記念の品選ぶ


   忘れては風に読まれている雑誌