十月

   老夫婦いびき合わせていただけに


   その辺をまだうろついている世過ぎ


   もう冷めた顔でとりつく軽はずみ


   いさめては来た筈なのに齢騒ぐ


   そこまでで述べずに置けたこそばゆく


   なんべんもくり返す手で後始末


   取り直すそんな短かい話して


   曲り角誰もおだてず向き向きに


   てのひらの雫しずけさに甘え


   ぬけぬけといいのける目でなお避けず