九月

   一管の笛に託していまも消えず


   訊くとなくいつか身につき目のあたり


   いさぎよく胸に描かせはぐれ鳥


   年甲斐もなきはしたなさよごれたる


   分け入って老いの好奇の物惜しみ


   はたと膝打つ間抜けさを責めてない


   順応のかたちでとどく薄明かり


   さし当たり濡れ手拭の舌足らず


   生きの綾語るべく酒驕らずに