六月

   山姥の焚火もみ消す乱杭歯


   どこで撞く鐘足裏を盗み見ず


   ゆるる露蛇がくわえし果し状


   破局見とどけしうえは咳に咳く


   けもの化けそこね髭焼く火の車


   雑草のむかしと同じかぞえ唄


   こな薬頬に散らかる思いやり


   警世の斉しく千の耳が立つ


   恥多きともいう齢につかまって

      古き同人 山田善弘さん逝去(六月三日)


   友数え遥かに君を遠くする