九月

   友情はいまほどほどに識りながら


   夢しぼむ涙は頬を濡らすとか


   年波にふれる愛想がほんとらし


   湧きあがる雲の素直さとは違い


   悪玉に吹くしたたかな風となれ


   時熟す晴れの舞台の挫折感


   冷静をよそおいながら堕ちるだけ


   ねんごろにひと粒の声聞いてやる


   わが果てを覚えながらの山つづき


   身をかわす老いの一徹追い抜かれ