十月

   ひとりして雨もたいなし妻と聞き


   打ち寄せる波呼んでいる波すぐそこに


   留守と知る秋草ただに目に残し


   友恙ありや昔を思い過ぐ


   そそくさと散歩わが足馴染みたし


   定命に行き着く契りよこたわる


   乱れありわがはしたなさ叱り置く


   無下にことわるまでもなし弱き身の


   じっくりと考えて見る遥かな世間


   ほほえみを交しながらの折り返し