六月

   お互いに宥す気でいて声を待つ


   落ちこぼれ実の小さくてはずみきり


   数えない齢だが向うから知って


   波は打ち返しいま叱咤と聞くか


   苦労しに生まれたというひとつ覚え


   収まった話に揚がっている花火


   けだるさにのめる妖しきひとの眉


   子育てのまだ終わらない夏を詠み


   思い出し笑いにまぎれわが落日


   どす黒さとはほど遠くしてやられ