五月

   いみじくも解き得て齢を気付かせる



   しくじりの老いにかぶせてさびしがり



   いたわりに甘え逃げようとする育ち



   そこまでは気のつかぬ振りからかわれ



   忘れてはいない顔して出会うなり



   こだわりの消えない人と笑い合う




   冴えぬ日の机の上を拭き終り



   まっすぐな道だと思うひとりの死



   わが夫婦誰はばからぬ生きの間の



   ならわしのゆくてをふまえわが夫婦