八月

   もみ手してかかる暮らしを思いやり


   いささかの酔いにまぎれて許す気の


   然るべく老いの自由につかまって


   まっくらな世と決めかねて顔を洗う


   子と孫を前にあやまるうろ覚え


   もろく潰えしと気付く何か数え


   とどめなく過去となるいまその衒い


   身代りのすたすた影もなく消える


   気遣いもあってさしもに髭っ面


   誰にこたえるまでもなくわが枕