二月

   人生かす言葉ひとつの巧まずに


   のろけともならずに老いのさびしまれ


   音もなく降る雪にこそ気を持たせ


   黙ってついて来た影いつもお前


   とらえたる音いみじくも身にあまり


   短かき日誰にむかしを語らばや


   真相を聞かせた盃の重み


   目が覚めている時の間を抱いてやり


   うなずいてやるそこに暮らしのぞかせ


   見直しも遅きや老いをあたためて